葬儀のあり方は死者と遺された者との関係で決まってきます。遺された者の悲しみが深ければ深いほど、死者を丁重に弔いたいという心の内側へと向かう気持ちが強まるでしょう。しかし告別式に重点が置かれた社葬における死者への弔い方は、いわば社会という外側に対してのプレゼンテーション機能が求められてきます。  
 このような社葬では宗教儀礼も重視されますが、やはり企業や個人の功績を強くアピールする形となってきます。その場合に採用する方式は告別機能を重視しながら企業主体型告別式とするのか、個性尊重型告別式とするのか、あるいは宗教儀礼色を薄めたお別れの会にするのかを決めなければなりません。これらの違いは葬儀の形式が異なるだけではなく、会場やスケジュールにも影響を及ぼします。さらに、どのような方式で行うのかによって、会社の将来の経営や社会に対する考え方を参列者に判断させる材料を提供することにもなってきます。
 
 
 
 社葬は主催する会社や故人と関わりのあった多くの方々に参列していただけるように行われます。そうした人たちへ告知をするだけでもある程度の日数が必要です。ましてや社会的に活躍されている人も多いはずです。参列者が社会的なステータスの高い人であれば、スケジュールもある程度は考慮せざるを得なくなってきます。告知すると平行して葬儀の準備も必要です。こうした準備だけで最低2週間は必要です。
 社葬に先立って個人葬としての密葬が行われるならば、そのことを告知するのかどうかも決めなければなりません。近親者だけに限った密葬が行われるならば、社葬の告知は密葬を済ませた後になります。
 
 
 
 葬儀は死後何日以内に行わなければならないという規則はありませんが、常識的に考えれば49日以内に行いたいものです。ただし、告別式やお別れの会といった方式であれば必ずしも49日にこだわることはないでしょう。その場合は2ヶ月以内を一つの目安にすればいいでしょう。
 個人葬と社葬を一緒に行う合同葬の場合は、遺体の保存日数上での制約があるため少し事情が異なってきます。通常、遺体の保存は5〜7日程度です。ただしエンバーミング処置(遺体防腐処置)を施せば2週間ほど保存が可能となります。こうした点を考慮して準備と告知期間を考えると一般的には死後1週間以内、エンバーミング処置を施しても2週間以内と考えるのが一般的です。
 
 
 
 どれだけ立派な社葬を営んだとしても、葬儀である以上は絶対に忘れてはならないことがあります。死者に対する弔いの心です。
 いくら参列者が目を見張るような豪華な祭壇で飾り立てても、故人に対する畏敬の念がおろそかであれば、その会社に対して多くの参列者は不信感を抱きかねません。こうしたことは言葉や態度に端的に現れてきます。具体的には遺体、遺骨、位牌、遺影の取り扱いです。これらをたんなる物として扱っているのか心から丁重に扱っているのかどうかは誰が見てもすぐにわかります。
 
 そして悲しみに暮れる遺族への配慮です。故人を弔う気持ちは遺族への態度として現れます。社葬は会社が公的に運営するものだとはいっても、肉親である遺族の悲しみや心情を理解しなければ、社葬は全くの形式的なものに終わってしまいます。
 
 
 
   
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